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【連載第17回】ガスと電気をセットで販売する企業ができるって本当?           

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第17回と第18回では、電力自由化(電力小売全面自由化)後に予想される日本の電力企業の姿についてご紹介します。
今回は電気やガス等、様々なエネルギー関連の商品を一手に扱う「総合エネルギー企業」を取り上げます。

1. 電気とガスをセットで販売?

2016年4月の電力自由化に続いて、実は2017年には都市ガスの小売りも全面自由化されます。
そうなると「うちは電気とガスをセットで売ります」というような、総合エネルギー企業とも呼べる会社が出てくることが予想されます。
新しく電力事業に参入する事業者にとっては、都市ガスの自由化はビジネスチャンスの拡大ととらえることが出来ます。
セット販売により売り上げのアップが望めますし、顧客からの質問に答えるカスタマーセンターや請求書発送などの実務を、ガス事業でも活用することが出来るため、業務の効率化も望めます。

2. ヨーロッパに続いて日本でも総合エネルギー企業誕生?

既にイギリス、フランス、イタリアなどのヨーロッパの小売業者は、電気とガスのセット販売を盛んに行っています。
英国の調査機関が行ったアンケート調査によると、ガスと電力の両方を利用している消費者の約7割がセット販売を活用し、同じ会社から購入しています。

このように日本でも電気・ガス・石油・通信などをセットで売る企業が出てくるはずです。
既存の大手電力会社がそうなっていくのか、もしくはガス会社や通信会社がそうなるのか、その他の新興企業がそうなっていくのかは今の時点ではわかりませんが、いずれにせよ将来的に総合エネルギー企業が出てきて、彼らが市場のメインプレーヤーとなると予想されます。

3. 総合エネルギー市場が切り開く未来

東京電力は既に国内各地で書くガス事業者との連携に乗り出しており、電気とガスのセット販売による割引などを実施することによって、顧客流出を防ぐ対策を始めているようです。
また東京ガス等は、通信会社などとの連携を進めています。

電気・ガス・通信会社、さらにIT系企業などが競争や連携をしながら最終的には総合エネルギー市場が出現して、総合エネルギー企業がたくさん現れる。
そのもとに、前述したようなスマートメーター、HEMS、デマンドレスポンス、ビッグデータなどを活用した新ビジネスや、スマートハウス、蓄電池、電気自動車、通信などの様々な分野が連動した、新しい未来社会が切り開かれていくというイメージです。

テクノロジーの進化によって電力業界がアナログからデジタルに変わるという時期と、今回の電力自由化のタイミングが重なったことにより、新しい市場やビジネスアイデア、技術革新が生まれる可能性がある、ということが今回の自由化においては非常に重要なポイントなのです。
企業情報
企業名
RAUL株式会社
事業内容
  • エネルギー自由化推進事業
  • 環境経営・CSR活動支援事業
  • グリーンコンシュマー支援事業
  • ソーシャルビジネス支援事業
設立
2005年3月
URL
http://www.ra-ul.com
ライター紹介

江田健二

慶應義塾大学経済学部卒業 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。 エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。 アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年にRAUL株式会社を設立。   著書 『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』

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