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TPPが投げかける安さの本質           

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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が漸く大筋合意して、直ぐにではありませんが、ほとんどの商品が関税ゼロになるようです。関税ゼロになったら海外から安い商品がどんどん入ってきて、日本の生産地が大きな打撃を受けるとか付加価値を付ければ、海外に出ていくチャンスも大きくなるなど様々な声が飛び交っています。こうした声の底流にある本質について今一度検討してみましょう。

商品の価値を改めて確認する

TPPを巡る様々な意見の中には、誤解も多いように思われます。大きな誤解の一つは、消費者の購買決定要因に関してです。消費者が何を目安に買っているのか、利用しているのか、ということです。何と言っても最終的には、その商品やサービスが消費者に受け入れられなければなりません。消費者の支持を得られない商品やサービスは、どんなに安くても、どんなに付加価値を付けても売れるわけがないのです。では、消費者が、商品やサービスを買ったり、利用したりしている基準は何でしょうか。それは価格や付加価値ではなく、商品やサービスが持っている価値の筈です。では、価値とはどのようなものでしょうか。ここで改めて考えてみましょう。

何が商品価値を決めるのか

古くから言われているように、価値は品質と価格の関係で決まります。公式で表すと

価値(V)=品質(Q)÷価格(P)となります。

公式はシンプルですが、ここには多くの意味が含まれています。衣料関係であれば、品質の要因には、色・柄・デザイン・素材・スタイル・流行・耐久性・ブランドなどが挙げられます。また、食品関係であれば、味・香・形態・産地などが品質要因に挙げられるでしょう。最近では安全性やブランドといった要因も重視されているようです。

価値を高める2つの方法

消費者の求める価値を高めるためには2つの方法があります。1つは、上記公式の分母に当たる価格の値を下げることです。品質が一定であれば、価格を下げれば下げるほど物の価値は高くなります。もう一つの方法は、分子に当たる品質の値を高くすることです。価格が同じであれば、ユニークな色やデザインを使ったり、流行を取り入れたりすれば、価値は高まります。重要な点は、ただ単に価格を下げればいいというものでも品質を高めればいいというものでもないということです。価値が高まって初めて消費者に受け入れられるのです。

確かにTPPでは、格段に価格の安いものが入ってくる可能性があります。しかし、それは品質が同じで価値が高いと言うことを前提にしての話です。また、品質が高い方が少ないものより選ばれる可能性は高くなりますが、それも価格が同じで価値が高いということを前提にしての話です。品質の良いもので安いものであれば価値は格段に高くなり消費者は必ず受け入れてくれる筈です。

TPPは、商品価値の問題だけでなく、保険や著作権、食の安全性など多くの複雑な問題を抱えています。これから慎重な検討が望まれます。

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