総合スーパー大量閉鎖と格差社会の関係
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大手小売業の大量閉鎖
元祖GMSから学ぶ教訓
日本のGMSのモデルは、アメリカで誕生したGMSでした。アメリカ小売業視察で当時のGMSを見た小売業の創業者たちはその規模とユニークな売場づくりに衝撃を受けました。それまでの日本では、扱い商品の生産者や生産地、原料などに限定された業種店舗しかなかったからです。
アメリカのGMSの中でも、当時ナンバー1企業のシアーズが注目を集め、多くの人が研究のためにアメリカに足を運びました。しかし、アメリカのGMSには食料品は扱われていません。そのシアーズも80年代後半に危機を迎えます。当時のアメリカの業界誌では、「アイデンティティ・クライシス(主体性の危機)」として大きく取り上げられていました。
GMSの2大衰退要因
一つは、競争相手の登場です。競争相手といっても同じGMSではありません。現在アメリカ小売業ナンバー1の座に居るディスカウント・ストアのウォルマートや専門店のギャップ、リミッテッド、ホーム・デポと言った相手です。90年代に入るとウォルマートはそれまでトップに居たシアーズを追い越して行きました。さらに強力な専門店が次々と登場してきました。そうした企業に売上を食われていったのです。
もう一つは、GMSを支えてきた消費者の変化です。GMSは、アメリカの健全なミドルクラス(中産階級)が支えてきた業態でした。シアーズの商品を買って暮らすことがライフスタイルだけでなく精神的にも健全な中産階級の象徴だったのです。
格差社会到来でGMS崩壊?
日本のGMSは、成り立ちも形態も元祖とは全く違いますが、支えてきた消費者は、経済成長を主導してきた大きな塊の中産階級であったと言えます。日本のGMSの衰退がアメリカのような格差拡大、中産階級の崩壊によるものである可能性は、高いと思われます。GMSの危機は社会構造の危機でもあると思うのです。
内呂民世(うちろたみよ)
流通専門出版社で月刊誌の編集長、出版部長を勤めた後、2008年から11年まで立教大学大学院講師。現在流通コンサルタント。
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E-mail : PXL11271@nifty.ne.jp
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