人手不足にならない企業とは(その2)
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自社のウリをもっている
「強力」と言っても、日本人なら誰もが知っているようなメガブランド商品ではありません。お伺いして初めて知るような、ほとんどが無名の商品です。大手企業様のOEM商品であることも少なくありません。それでも、経営者様は「うちのウリはこれです」と言明され、従業員も同様に自覚し、また周りからもそのように見られているのです。
自社のウリをはっきり言えるとき。それはお客様の顔がはっきり見えるときでもあるでしょう。この商品は誰が購入してくださるのか、どんな特長があって、どのようにお客様に役立ち、喜んでいただけているのか。自社が生み出すひとつの商品の行く末が見え、自分もその中でしっかりと役割を果たしている、と自覚できるとき、そこで働く方々は自分の居場所を見出し、これから採用面接に臨む方々もそれを目の当たりにするのです。
従業員の働き方に柔軟に対応する
ある医療系サービス業の企業様では、お客様受け付けと顧客管理の事務職員に欠員が出て、急遽パート・アルバイトを採用しようとしたのですが、なかなか応募がありません。その企業は夕方の17時まで受け付け業務があり、その後顧客データをまとめるため、受付終了の1時間後の18時まで勤務してもらうことが条件でした。退職者から早く後任を決めてくれとせっつかれたリーダーは、顧客データのまとめを自分でやることにし、終業時間を1時間早めたところ実にあっさり後任が決まりました。その上、後任者は手あき時間を使って勤務時間内に顧客データのまとめまで行うようになり、当初考えていた業務はすべて実施できたのでした。
勤務時間、休日、残業など勤務体系を柔軟に変えることで、問題が解決することがあります。男性しかできないと思っていた業務を女性が行う、若い人の中にベテランが混じって仕事が円滑に進む。「働き方」「働かせ方」に対する思い込みを一度取り払い、0(ゼロ)ベースで考えることが、この人手不足時代では必須の対策なのです。
池田史子(いけだふみこ) 中小企業診断士。
ITベンチャーに創業メンバーとして参画し、クラウド・サービスの開発責任者として、システムの企画・開発、従業員採用・育成、組織作りに携わる。2009年中小企業診断士に登録し、2011年独立。現在は、行政や金融機関を通じて、さまざま業種、業界の中小企業、創業者へのコンサルティングを行っている。融資と補助金に強い事業計画立案と実行支援に強みを持つ。 ビジネスにおけるマインドのあり方に興味を持ち、ダイバーシティ経営、ジェロントロジー、企業と働く人とのパートナーシップを研究している。