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セルフ・レジ拡大にみるコスト構造改革の試み           

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スーパーマーケットからコンビニエンスストアに、セルフ・レジの導入が拡大しています。この勢いは他業界にも影響を与えそうです。一体、セルフ・レジには、どんなメリットがあるのでしょうか。そこにはお客の側に認められ、企業の利益に繋がるというコスト構造改革の大きな目論見があるのです。

拡大するセルフ・レジの実態

一口にコスト削減といってもいろいろな方法があります。既存の材料や消耗品を節約する方法、仕組みの変更で別のコスト構造を創る方法。どちらも重要なコスト削減であることは確かです。特に仕組みを変えて新しいコスト構造を創る方法は、競争に打ち勝つために欠かせないものです。例えば、最近流通業で拡大しているセルフ・レジの導入もその一つです。日本スーパーマーケット協会などスーパー3団体の調査によると、2015年に51店舗以上を運営するスーパーチェーンの約6割がセルフ・レジを導入しているということです。さらにスーパーだけでなくローソンやファミリーマートなどコンビニエンスストアにも拡大しています。ローソンでは、2010年から導入され、現在50店舗で71台設置。ファミリーマートでは、昨年(2015年)11月30日に京成日暮里駅構内の5店舗導入を皮切りに駅中490店に、さらに一般店舖に広げて3年後1500店を目指しているということです。この他にもJR東日本リテールのニューデイズや良品計画の特定の店などでも導入されています。

レジの仕組み3つの現状

精算時の仕組みは、現在おおよそ3つの方法に集約されます。一つ目は、これまで行われている方法です。POSレジで商品に付けられたバーコードを読み取り、合計金額をお客から店員が受け取って精算するというものです。現在のところこれが主流です。2つ目は、一つ目の作業のうち、バーコードの読み取りと、金銭の授受を別々にするというものです。店員は、ひたすらお客が購入した商品のバーコードを読み取り、精算書をお客に渡し、お客自身が精算機で精算する、というものです。

3つ目は、買った商品をお客自身がスキャンし、精算もお客がするという方法です。精算活動が全てお客の側に移るということでは、3つ目が完全セルフ、2つ目がセミ・セルフと言ってもいいでしょう。もちろん、ここまでになるには、現金払いからカード払いという支払い方法の変化が必要です。完全セルフでは、カードによる決済が絶対の条件となるからです。

セルフ・レジのメリット

セルフ・レジのメリットは、①間違いが防げる(レジや金銭授受)、②スピードを上げられる(お客との金銭授受で手間取ることがない)、③運営に人手が掛からない、④販売員の不正を防げる、などが挙げられます、特に人手不足による賃金上昇で人件費の高騰が避けられないなかでは、コスト削減に大きく貢献すると思われます。設備投資にお金が掛かっても低コスト構造にしておくことが競争に打ち勝つことになるのです。

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