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総合スーパー大量閉鎖と格差社会の関係           

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総合スーパー(GMS)の閉鎖が多くなっています。店舗が閉鎖される地域では、利用していた多くの消費者が不便になると頭を抱えているようです。GMSは、食料品が主体のスーパーマーケットとは違い、衣・食・住を総合で扱う店舗のことです。そうした店舗を展開する、ほとんどの企業が今、大量の閉鎖を余儀なくされているのです。そこには大きな社会的な変化が伺えます。

大手小売業の大量閉鎖

セブン&アイ・ホールディングスは、グループのイトーヨーカ堂を今後5年間で40店舗閉鎖します。全店舗の20%に匹敵します。ユニーグループ・ホールディングスは、今後3~5年間で最大50店舗の閉鎖を検討しています。現在展開している230店舗のうち約21%に相当します。西友は、すでに一昨年の10月に約30店舗の閉鎖を発表しています。最大手のイオンは、年度を区切った閉鎖の発表は特にしていません。それは、閉鎖する店舗の近くに新しい店舗を出店する(スクラップ&ビルド)戦略を取っているためです。それでも閉鎖の速度は早まっているように思われます。

元祖GMSから学ぶ教訓

もちろん閉鎖の原因は、業績の悪化です。一頃のような勢いは見られず、既存店の売上は前年をどんどん下回っている情況です。もはやGMSというビジネスモデル自体が通用しないのではないかという意見が高まっているのです。

日本のGMSのモデルは、アメリカで誕生したGMSでした。アメリカ小売業視察で当時のGMSを見た小売業の創業者たちはその規模とユニークな売場づくりに衝撃を受けました。それまでの日本では、扱い商品の生産者や生産地、原料などに限定された業種店舗しかなかったからです。

アメリカのGMSの中でも、当時ナンバー1企業のシアーズが注目を集め、多くの人が研究のためにアメリカに足を運びました。しかし、アメリカのGMSには食料品は扱われていません。そのシアーズも80年代後半に危機を迎えます。当時のアメリカの業界誌では、「アイデンティティ・クライシス(主体性の危機)」として大きく取り上げられていました。

GMSの2大衰退要因

内部、外部さまざまな要因が挙げられていましたが、特に2つが大きかったと思われます。

一つは、競争相手の登場です。競争相手といっても同じGMSではありません。現在アメリカ小売業ナンバー1の座に居るディスカウント・ストアのウォルマートや専門店のギャップ、リミッテッド、ホーム・デポと言った相手です。90年代に入るとウォルマートはそれまでトップに居たシアーズを追い越して行きました。さらに強力な専門店が次々と登場してきました。そうした企業に売上を食われていったのです。

もう一つは、GMSを支えてきた消費者の変化です。GMSは、アメリカの健全なミドルクラス(中産階級)が支えてきた業態でした。シアーズの商品を買って暮らすことがライフスタイルだけでなく精神的にも健全な中産階級の象徴だったのです。

格差社会到来でGMS崩壊?

ところが、当時のアメリカは、健全な中産階級が、急速に上流と下流に分散を始めていました。格差社会が顕著になってきたのです。この時シアーズの対応策は、特売セールを始めたり、ウォルマートが行っていたエブリデイ・ロープライスを打ち出したり、ブランド品を扱ったり、といったものでした。そこで「アイデンティティ・クライシス」と言われるようになってしまったのです。今ではGMSで残っているのはシアーズだけです。

日本のGMSは、成り立ちも形態も元祖とは全く違いますが、支えてきた消費者は、経済成長を主導してきた大きな塊の中産階級であったと言えます。日本のGMSの衰退がアメリカのような格差拡大、中産階級の崩壊によるものである可能性は、高いと思われます。GMSの危機は社会構造の危機でもあると思うのです。

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