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【連載第9回】電力自由化にはどんな備えをしたらいいの?‐企業編‐           

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連載第1回から第8回までは、電力自由化(電力小売全面自由化)がもたらす大きな変化について見てきました。
第9回から第11回までは、電力自由化の時代の時代にどのように備えるべきなのか見ていきましょう。
第9回は企業の取り組みについて考えます。

1. 電気料金の明細書を確認しよう

電力の小売が全面的に自由化される今回は、中小企業や町の商店なども今までとは異なる電力会社から電力を購入できるようになります。
そこでそうした企業がまず行うべきことは、「これを機に、自社の電力の買い方や使い方を見直すことで、電気利用の無駄をなくす」ということです。
まず現状を把握したうえで、自社もしくは自分たちのお店に合った電力会社やプランを選ぶことが大切です。

そのためには、自分たちが普段支払っている電気料金をきちんと把握することが重要です。
まずは毎月の電気料金の明細表を見て、契約内容や電力使用量などをもう一度確認してみましょう。
できれば、過去1年間程度の電気料金を調べることをお勧めします。
冬と夏など季節によってどれくらい変化しているのか、1年間でどれほど電気を使っているのか、それらをしっかりと把握しましょう。
1年分の電気料金を記録・保存していない方は各電力会社が過去1~2年分お電気料金データを見られるサービスをネット上で始めているので、そちらを利用すると良いでしょう。東京電力では「でんき家計簿」という名称で運営しています。

このようにして自社の電力使用状況をしっかりと把握しましょう。
今後電力会社を替える場合、新しい電力会社から「これまで年間にどれくらい電気を使っていましたか?」「夏と冬ではどれくらい電力料金の差がありますか?」などと聞かれる可能性があります。
それが分かれば新しい電力会社も、「ではこんな料金プランがいいでしょう」と適切なプランを提案してくれるはずです。
消費者側にとっても自分たちの電力使用状況を詳しく把握しておけば、その情報を交渉材料にすることができるかもしれません。

2. 省エネでコスト削減+補助金獲得?

また、企業はこの機会に省エネを強く意識してみると良いのではないでしょうか。
積極的に省エネに取り組むことによって、企業規模にもよりますが、だいたい1割から2割の電力量の削減が見込まれます。そうすると、例えば月10万円、年間で約120万円の電気料金を支払っている会社や店舗だと、年間約12万から24万円の経費削減が実現します。
特に全国に何百何千という店舗を持っているフランチャイズ企業やチェーン展開をしている企業は、省エネと電力会社の切り替えでかなりの額、場合によっては年間数千万円から数億円規模のコスト削減につながります。
実際、最近の新聞報道によると、あるコンビニ大手は、2015年中に2500店舗を新規参入の電力会社からの電力購入に切り替えることによって「年間で約2億5000万円の節約を見込んでいる」そうです。自治体の例ですが、神奈川県などは「東京電力から別の電力会社へ切り替えたことによって、年間3億4000万円の節約になった」ということです。
さらに、省エネのための取り組みを積極的に行えば補助金を獲得できるか可能性があります。実は経済産業省や環境省、地方自治体などには、省エネのための様々な補助金制度があります。「照明をLEDに変えたら補助金を出します」、「窓を断熱ガラスに変えたら補助金を出します」といったような、省エネのための制度です。政府や自治体としても、企業にもっと節電をしてもらってエネルギーを今までよりも効率的に使っていこうという方針があるので、省エネ関連の補助金予算は増加傾向にあります。
このように、電力会社を替えるだけでなく、今回の自由化を機にこうした補助金制度を活用して省エネに取り組むことが出来ないか検討することは、企業にとって非常に重要なことです。

3. グリーン電力の購入がPRに?

企業にとって「電気料金」は悩みの種の1つです。電気料金に対処する方法の1つとして、上でのべたように削減を行うというものがあります。
ですが、あえて、逆転の発想でPR材料として利用するのはどうでしょうか?

自由化が進んでいるイギリスでは、あえて値段の高い再生可能エネルギーを利用して、自社のPRに役立てているスーパーマーケットや飲食店などが存在しています。
店舗を訪れる顧客に再生可能エネルギーを利用していることをPRし、ファンづくりにつなげているのです。

また、直接的な顧客へのPRだけではなく、金融機関や投資家へのPRといった側面も期待できます。
環境の貢献度の高さを投資判断の材料として評価し、支援していく流れが世界的に広まっているからです。

このように、電力自由化により電力会社やサービスの選択肢が増えたことを、コスト削減の観点だけでなく、PRによる顧客基盤の強化や、再生可能エネルギー比率などの開示による環境パフォーマンスの評価構築のチャンスとしてとらえてみてはいかがでしょうか?
企業情報
企業名
RAUL株式会社
事業内容
  • エネルギー自由化推進事業
  • 環境経営・CSR活動支援事業
  • グリーンコンシュマー支援事業
  • ソーシャルビジネス支援事業
設立
2005年3月
URL
http://www.ra-ul.com
ライター紹介

江田健二

慶應義塾大学経済学部卒業 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。 エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。 アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年にRAUL株式会社を設立。   著書 『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』

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