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【連載第8回】電力自由化すると、どんな料金プランが生まれるの?電力料金は下がるの?           

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これまで何度か触れている通り、電力自由化が始まるとこれまでは考えられなかったような電力料金のプランが多数生まれることが期待されます。
今回はどのような料金プランが生まれることが予想されているのかを見ていきましょう。

1. 自分の生活スタイルに合わせてプランを選べる?

電力自由化(小売全面自由化)が始まると、様々な料金プランの中から自分の生活スタイルに一番合ったものを選べるようになるかもしれません。
例えば「家族計約割引」のようなものが出てくるかもしれません。例えば家族が別々に住んでいる場合、今だとそれぞれの家で別々に料金を払っています。
それを「家族5人分まとめて契約すれば基本料金を安くします」というようなものです。
こうした新しいプランやメニューには、従来の料金体系で少し損をしてきた人たちにとってはとても大きなメリットがあるでしょう。
あるいは、安い時間帯の電気を選んで交友し、家庭の蓄電池に電気を貯めておいてちょっとずつ使う、という人も出てくるでしょう。
電気料金は、電力消費量の多い昼間よりも、消費量の少ない夜間の方が安くなる傾向にあります。
そのため、「夜は電気をもっと安く売ります」という電力会社が出てくる可能性があります。
すると「うちは夜間の電気のみを買って、家の蓄電池でためておく。昼間の電気は買いません」という選択をすることもできるでしょう。

2. 電力以外の製品・サービスとセットになった料金プラン

また、様々な業界の会社が電力小売り事業に参入することから、様々な業界の製品やサービスとセットになった料金プランを提示する会社も出てくるでしょう。
例えば、鉄道会社などが新しい料金プランを始めるかもしれません。鉄道会社は以前から自由化の対象になっていますので、電気料金を安くする努力を既にしていますし、自分たちで独自の発電設備を持っている会社も多いのです。
そこでそうした鉄道会社が電力会社となり、「うちの電気を買ってくれたら、年に1回、新幹線や特急券などの無料チケットを差し上げます」という新たなサービスを始める可能性もあります。
おそらく住宅メーカーも参入してくるでしょう。
「うちの会社で家を建ててくれたら、3年間は電気代をうちの会社が持ちます」といったプランを出してくる可能性もあります。
このように、電気をある種のおまけとして活用して自社商品を売るというサービスが、これからたくさん出てくるのではないでしょうか。
現に大手住宅メーカーの大和ハウス工業も、既に電力事業に参入を表明しています。電力の販売で儲けようというよりは、電気という商材で顧客とのつながりを強化していこう、という考え方に向かっていくと思われます。

3. 電力料金が下がるとは限らない!?

ここまで様々な新しい料金プランを見てきましたが、実は「電力自由化=電力料金が下がる」とは必ずしも言えないことに注意することが必要です。
確かに電力企業同士の競争が激しくなって値引き合戦が起こりますから、全体としては電力料金が安くなることが予想されます。

ですが、だからといって、それぞれの家庭が払う額が小さくなるとは限りません。
今まで割を食っていた人は得するかもしれませんが、得していた人の電気料金が高くなってしまう可能性もあります。
つまり「自由化=料金が下がる」というよりは「自由化によって電気料金がより適正なものになる」といった方が考え方としては正しいかもしれません。

少しがっかりされた方もいらっしゃるでしょうか。
ですが、電力自由化は社会全体に様々な変化を引き起こします。
様々な電力料金プランの出現はその変化のうちの1つにすぎません。
単に電気が下がる、電力会社の選択肢が増える、増えるといった表層的な事情だけに注目するのではなく、その裏側にある様々な社会的・経済的な変化や変革、新しい動きなどに注意しながら行動していくことが大切でしょう。
企業情報
企業名
RAUL株式会社
事業内容
  • エネルギー自由化推進事業
  • 環境経営・CSR活動支援事業
  • グリーンコンシュマー支援事業
  • ソーシャルビジネス支援事業
設立
2005年3月
URL
http://www.ra-ul.com
ライター紹介

江田健二

慶應義塾大学経済学部卒業 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。 エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。 アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年にRAUL株式会社を設立。   著書 『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』

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