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【連載第4回】ヨーロッパでも既に電力自由化が進んでいるって本当?ヨーロッパではどんなことが起こっているの?           

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アメリカやヨーロッパ諸国では、電力自由化が既に社会に浸透しています。
電力自由化の「先輩」であるアメリカやヨーロッパ諸国の経験を学び、日本の電力事業の将来を想像してみましょう。
今回はヨーロッパ諸国における電力自由化についてご紹介します。

1. ヨーロッパ諸国も電力自由化の「先輩」

前回では日本に先駆けて電力自由化(電力小売完全自由化)に取り組んできた国の例として、アメリカ合衆国における電力自由化についてご紹介しました。
今回は同じく電力自由化に早くから取り組んでいる地域として、ヨーロッパ諸国を取り上げます。

アメリカ合衆国とヨーロッパ諸国はどちらも電力自由化の「先輩」ですが、電力自由化の進め方は両地域でかなり異なります。
例えばアメリカ合衆国は各州が独自に電力自由化を進めていますが、ヨーロッパ諸国は各国が細かいルールなどを定めて足並みをそろえつつ自由化を推進しています。

これから電力自由化の時代に突入する日本が進むかもしれないもう1つの可能性として、ヨーロッパ諸国の例を見てみましょう。

2. 企業と国がつながるヨーロッパの電力自由化

ヨーロッパではヨーロッパ連合(European Union, EU)が電力自由化に関する方針を定め、各国がそれに従う形で足並みを揃えて電力自由化に取り組んでいます。

ヨーロッパ諸国では自由化した後に、多くの企業が電力事業に参入して、様々な料金プランが生まれました。最近では、そうした企業同士の合併や統合が進んでいます。
その結果、電気だけではなく、ガス・水道・インターネットサービスなどをまとめて消費者に提供する総合エネルギー企業が誕生しています。
ヨーロッパでは今、こうした大規模な総合エネルギー企業が国境を越えて多種多様なサービスを提供するようになっており、市場全体、経済全体に置いて非常に大きな存在感を示すようになっています。

わかりやすくお店に例えると、最初は小さな果物屋さんがあり、それがどんどん統合されて大型食品スーパーになり、最後には食品だけではなく、豊富な種類の商品を売っている大きな商業施設のようになっていったと想像して頂ければよいでしょう。

3. 各国はどのように電力自由化を進めているのか -ドイツとイギリスを例に-

ここでは各国がどのように自由化を進めているのか見てみましょう。
ヨーロッパではイギリス・ドイツ・フランスを筆頭に多くの国が自由化を実施していますが、これ以外にもイタリアやスペイン、北欧諸国なども自由化を進めています。
ここでは代表的な例として、ドイツとイギリスの例をご紹介します。

ドイツは最も注目される国の1つです。ドイツでは自由化に伴って非常に多くの電力会社ができていますし、電気だけでなくガスやその他のエネルギーも一手に扱う総合エネルギー会社も生まれています。
また太陽光や風力などの環境に優しいエネルギーの利用も進んでいます。
そういった意味では、電力自由化を含むエネルギー産業の活性化においてはドイツが一番積極的で進んでいると言えるでしょう。

イギリスも電力自由化において注目される国の1つです。
イギリスでは電力自由化によって多くの電力会社が生まれましたが、競争の結果、現在6社ほどの電力会社に電力事業がほぼ集約されており、これらの会社はBig Six Energy Suppliers(Big6, 6大エネルギーサプライヤー)と呼ばれています。
その一方で、太陽光発電によって得られる電力を販売する電力会社の一部がBig6に並ぶ活躍を見せていることから、環境に優しいエネルギーへの関心が高まっていることもうかがえます。

4. ヨーロッパ諸国の電力事業と日本の電力自由化

前回、アメリカの電力事業者が日本の電力事業者の「ライバル」であるとお話ししましたが、これはヨーロッパの電力事業者についても同様です。

ヨーロッパ企業については、これから電力自由化に突入する日本に新たな市場として進出することが予想されるだけでなく、日本の後に電力自由化に取り組むであろうアジア諸国への展開をも狙っていることが考えられます。
先ほども述べたとおり、ヨーロッパでは電力だけでなく、様々なエネルギーを扱う総合エネルギー企業が複数誕生しており、それらの企業はもはや世界レベルで戦えるだけの能力を有しています。

日本の電力業者にとってヨーロッパの電力事業者は、日本国内だけではなく、海外でも戦わなければならないことが予想される相手なのです。
企業情報
企業名
RAUL株式会社
事業内容
  • エネルギー自由化推進事業
  • 環境経営・CSR活動支援事業
  • グリーンコンシュマー支援事業
  • ソーシャルビジネス支援事業
設立
2005年3月
URL
http://www.ra-ul.com
ライター紹介

江田健二

慶應義塾大学経済学部卒業 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。 エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。 アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年にRAUL株式会社を設立。   著書 『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』

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