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企業のお歳暮事情 注意しないとトラブル発生?!            

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そろそろ百貨店やスーパーが、歳暮商戦を立ち上げる時期になりました。今年話題の贈答品情報がTVのニュースを賑わせる一方で、企業とりわけ中小企業にとって、お歳暮は対応の難しい問題になってきています。変化しつつあるビジネス界の常識に、企業はどう対応すればいいのでしょうか?

コンプライアンスの観点から、大企業はほぼ贈答禁止

日本で「企業倫理(コンプライアンス)」という言葉が使われ出したのは1997年頃とされています。その後企業はコンプライアンスの観点から、取引先からの接待や贈与を規制、「中元・歳暮は贈与にあたる」として辞退するようになりました。そして2015年現在、大手企業は、中元・歳暮のやり取りを廃止しているところが大半になりました。取引先が担当者の個人宅へギフトを直送しないように、コンプライアンス委員会が指導する厳格な企業もあります。

「コンプライアンス」か「日頃の感謝」か? 企業による認識に差異

大企業の多くが贈答廃止へ動くなか、従来通りに中元・歳暮を取り交わす企業も少なくありません。もともと中元・歳暮は、接待や贈賄といった意味合いを持つものではなく、親戚など近しい方へ「日頃の感謝を伝える季節の儀礼」。コンプライアンスには抵触しないと考える企業もあります。とりわけ人との繋がりを重視する中小企業では、中元・歳暮を大切な儀礼と考える風潮も強く、ビジネス界のギフト事情は現在ダブルスタンダードな様相を呈しています。

画一的対応はNG! 営業マンの見極めが重要

こうした状況の中、企業は「今年のお歳暮」にどう対処すればいいのでしょう? 多くの大企業のようにコンプライアンスの観点から贈答行為をいっさい廃止と宣言するのも一つの方法ですが、中小企業の場合それは難しいのが現実です。(お歳暮を)「贈るのが礼儀」か「贈らないのが倫理」か、画一的な対応をすると先方の心証を害しかねない問題です。

 

〇中元・歳暮は完全廃止。担当個人への送付も委員会が規制

〇中元・歳暮は原則廃止。担当個人への送付は黙認される

〇中元・歳暮は季節の儀礼として取り扱う

 

これらのうち、先方企業のスタンスがどこにあるのか、営業マンが社風や事情をきちんとリサーチする必要があります。

コンプライアンスに抵触しない、感謝の示し方を

中元・歳暮などの贈答を禁じる一方、年賀状やクリスマスカードなどのシーズンズグリーティング(season’s greeting)は、大概の企業が受け入れます。事務的になりやすいビジネスの世界だからこそ、人と人との関係は円滑にしておきたいもの。企業によっては、贈答はだめでも営業補助スタッフへの「手土産」は黙認されているケースもあります。各企業なりの感謝の示し方に工夫が要るようです。
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