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お歳暮のお礼状 ビジネス編 ―親しき仲にも礼儀ありー           

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ビジネス上でお付合いのある方からお歳暮をいただいた場合、どのようにお礼を伝えたら良いでしょうか。お礼状はメールでOK? どんな文面にすれば適切? 社内規定でお歳暮を受取れない場合はどう対処するべきかなど、ビジネスマナーにお応えします。

■お歳暮の返礼は、出来る限り迅速に

ビジネスの相手からいただいたお歳暮の返礼は、贈られ方や自社のコンプライアンス規定など、様々なケースによって対応が異なります。どのケースにも共通して言えることは、出来る限り迅速に対応し、返礼するということ。年末の繁忙期だからと後回しにして返礼が年を越したりするのは、ビジネススキルが低い印象を与えます。忙しいのであれば、取り急ぎの簡略を詫びながらでも早目の返礼をするのが好印象です。

簡略←                                     ■お礼を言う場合の礼儀正しさの度合い       →礼儀正しい
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〈 ●メール・電 話            ●書面(手紙・ハガキ)            ●対面  〉

今は、挨拶を含めビジネス上のやりとりをすべてメールでする企業も多く、一概にメールが失礼とは言えません。それでも昔ながらのお礼状は、「丁寧度」が高い印象。手紙はハガキよりも丁寧ですが、メールの返礼も普通になってきた中、手紙でのお礼状は少数になっています。個人のお歳暮の場合、届いてすぐ電話で返礼することは普通ですが、ビジネスの場では相手に時間を割かせることになるので丁寧な文章でメールを差し上げるほうがいいでしょう。いただいた電話でお礼を言うのも、片手間で失礼な感じになります。

■何より気をつけたいのは、「仕事のついで」に返礼をしないこと

仕事上頻繁に会う相手への返礼は書面にする

会って言うべきところを書面で代用するので、本来なら対面でお礼を言うのは礼儀正しいことなのですが、ビジネス相手の場合どうしても「打ち合わせのついで」にお礼を言う状況になりがち。その場合むしろ書面で返礼する方が、改まった対応に感じられます。

〈お礼状文例1〉

拝啓
師走の候、貴社益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さてこの度は結構な品をお送りいただき、誠にありがとうございます。
いつもながらのご厚情に、心よりお礼申し上げます。
慌ただしい時期になりましたが、どうぞご自愛下さいますようお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもってお礼申し上げます。
敬具
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■自宅へ届いた場合は個人名で、夫人が礼状を書く場合は夫の名前の横に「内」と記す

自宅への歳暮は個人として礼状を、部署が多い場合は、担当者宛へ

ビジネスの相手から自宅へお歳暮が送られて来た場合、社内のコンプライアンス規定で禁止されていなければ、ビジネスマナーを踏まえつつ個人としてお礼状を送ります。先方が部署の多い企業ならば、担当者宛に返事を書くようにします。夫に来たお歳暮に対し、夫人が礼状を書く場合は、夫の名で書いて名前の横に小さく「内」と書くようにします。

〈お礼状文例2〉

拝啓
あわただしい季節になりましたが、皆々様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご懇情をいただき、ありがたく厚くお礼申し上げます。
またこのたびは心づくしのお歳暮の品をお送り下さいまして、誠にありがとうございました。
一年お世話になりました上にお気遣いを賜り、恐縮に存じつつお礼申し上げます。
年の瀬を迎えご多忙と存じますが、どうぞご自愛下さいますようお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもってお礼申し上げます。
敬具
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■お歳暮を断らなければならない時は、より慎重な対応を

コンプライアンスの関係で受取れない場合も、「受取拒否」は避ける

通常ビジネスギフトは、デパート等からの配送で届きます。自社が企業コンプライアンスの関係で中元・歳暮の受取辞退する場合は、対外的に事前にしっかりアナウンスしましょう。認知が行き届かずお歳暮が送られて来てしまった場合、「受取拒否」で返送するのはいかにも剣呑な対応。一旦受取り、お礼とお詫びを添えて返品します。

〈お歳暮 お断り文例3〉

拝啓
師走の候、貴社ますますご清祥の事とお慶び申し上げます。
平素は格別のご懇情をいただき、ありがたく厚くお礼申し上げます。
このたびはお歳暮の品をお送り下さいまして、誠にありがとうございました。
お気持ちは大変ありがたいのですが、弊社はコンプライアンスの観点より
贈答品の授受を固く禁じておりますので、お心遣いだけ頂戴したく存じます。
どうぞご理解下さいまして、今後ともよろしくおつきあい下さいますようお願いいたします。
末筆ながら、時候皆々様がご自愛されますよう、お祈りいたします。
敬具
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ビジネスギフトだからこそ、きちんとしたお礼が大事。得意先と取引先だからと鷹揚な対応は禁物です。「親しき仲にも礼儀あり」の気持ちを忘れず、社会人としてマナーにかなった対応を心掛けたいものです。
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