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相続対策としての生命保険活用法(2)           

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相続税の納税は原則「現金」です。では、納税資金を「何で」準備するのが最も良いのでしょうか? 前回は重要なポイントとして、次の2つを挙げました。

①相続開始に合わせて現金化できること

②時期や景気による価格変動がないこと

そして、この2つを満たす財源と言えば、生命保険が最も適しているとお伝えしました。

今回はその理由をお話ししましょう。

時期を選ばない!

相続はいつ起こるか誰にも分かりません。相続開始時に不動産や金融資産がどのような状態になっているか分かりません。たとえ不況であっても、赤字であっても、相続が起こる可能性は常にあります。その中で保険金の額は変動しないため、どのような時期に相続が開始しても必要額を確実に手に入れることができる、これは他の財源にはない大きな特徴です。

例えば、株式・投資信託等の金融商品ではどうでしょうか?

「安定投資型」といわれる国債や社債・社債投資信託、「積極投資型」といわれる上場株式・株式投資信託では、今日の不安定な世の中にあっては、いつ発生するか分からない相続の納税資金にはリスクが大きいといえるでしょう。

また、賃貸不動産の収入や税額が大きければ所有不動産の譲渡なども考えなければならないこともあると思いますが、これからの日本は、景気の動向や少子化、超高齢社会の進展により賃貸マンション経営・アパート経営が厳しくなり、空き室の増加や家賃収入の減収も起こり得る時代です。「所有不動産の譲渡」といっても、すぐに売れるとは限りません。売却に時間がかかれば現金化といってもすぐにはできません。

以上のようなことから、時期や景気に左右される価格変動がなく、確実な現金が入ってくることが生命保険の2つ目の大きな特徴です。

生命保険は将来必要とされる保険金の額を決めることができます。生命保険に入っておけば、生前に必要額と決めた額の保険金がおりてきます。高額の資産を持っている資産家は、その資産額に必要な生命保険に加入することで、納税資金を準備することができます。

非課税枠が活用できる!

生命保険には、非課税枠があります。相続人1人に付き、500万円までの保険金には税金がかかりません。例えば相続人が妻・子供2人の3人ならば、500万円×3人=1,500万円までは、税金はかかりません。 納税資金として、例えば保険金ではなく、現金や預貯金で納税資金を準備していたとするならば、現預金にはこうした優遇策の非課税枠はないので、現預金はそのまま遺産総額に加算されますので、納税が発生する方にはその分だけ、税金額が増えることにもなります。

なぜ生命保険には、他の金融商品にはない、こうした優遇策があるのでしょうか? それはやはり遺族の生活を守るため、という国の民法の規定によるからです。

人の命にかかわる唯一の商品である生命保険は、納税資金として最も適しているといえそうです。
ライター紹介

K.Sソリューション 代表 底田 一枝

国学院大學短期大学国文科卒業。英国留学(アビーミショナリースクール)1年。マーケティングリサーチ会社勤務後、 某国内生命保険会社に勤務。2011年FP事務所「K.Sソリューション」設立。 川口法人会会員、サイタマ・レディース経営者クラブ会員、一般社団法人日本オオカミ協会会員。
E-mail : sktkazu_ba_1990@yahoo.co.jp

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