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長期運転資金は銀行から警戒される           

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長期運転資金の借入れを考えるとき、企業の損益は厳しい状況にあることが多く、銀行との交渉はなかなか難しいでしょう。ではどのように銀行と交渉すればいいか。今回は交渉に当たっての心構えなどをお話しします。

長期運転資金とは

企業が銀行融資を受ける場合、商品を仕入れる、機械等設備を更新するなどの資金の使途とその返済財源を明らかにします。

では、長期運転資金は何に使われるのでしょうか。

その多くは、赤字補てんに充当する資金です。

長期運転資金が必要になる企業の損益状況は、売上高 < 売上原価 + 営業経費 の赤字状態が多く、その他に、売上債権の回収が滞り不良債権化している、売れ筋から外れた仕入れ商品(製造製品)が多くなり不良在庫(デットストック)になっている、競争力低下に伴う売上げ減少、及び社外への投融資(中小企業はこれが意外と多い)があります。

また、長期運転資金は明確な返済財源がないのが普通です。

早期に融資を受けるのが得策

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このように長期運転資金は、明日のための明るい資金ではなく、過去を背負った重い資金なので、銀行は不良債権化を危惧して警戒します。

銀行員に長期運転資金の話を持ち出すと、態度が引き締まり、各種の財務資料の提出を求め、さらにそれまでに預かった財務資料を改めて見直します。

金融庁の統計によると、貸出条件変更等の申込件数等の推移では、25年上期589,000件、25年下期573,000件、26年上期545,000件、26年下期528,000件(出所:金融庁HP) と減少傾向にあり、企業損益の改善が伺えます。

しかし、長期運転資金が必要になった状態が続くと資金繰りが悪化し、いずれ倒産に至ります。そのような事態を回避するため、銀行に警戒されても早期に長期運転資金の融資を受け、時間をかけて経営の立て直しを図るのがよろしいでしょう。

借入れ交渉に当たって準備すること

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長期運転資金の借入れ交渉には、事前に、経営改善の計画案を準備しておくことが重要です。

第三者的な目で原因を洗い出し、明らかになった原因に対して実効性のある改善策を用意しましょう。

資金繰り予定表では、少なくとも毎月の約定返済を除いて資金繰りが回っているでしょうか?これは、銀行からみれば、最低限返済資金だけ面倒を見れば資金繰りはついているという状態になっていることです。

さらに、3~5年程度の収支予想を作成し、年間の返済源及び赤字体質等改善の見通しを示すようにします。

これらを明らかにした事業改善計画書を作成し、銀行に丁寧に説明しましょう。

銀行も取引先が不良債権に転落し、やがて倒産に至るのは銀行経営上損失です。事業改善計画書が信頼できる内容であれば、銀行も支援するでしょう。
ライター紹介

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アドヴァンス行政書士・社会保険労務士事務所 代表 髙松 隆

プロフィール/地方銀行に38年間勤務(主に融資業務)の後、アドヴァンス行政書士・社会保険労務士事務所設立。社会保険労務士、行政書士、建設業経理士、1級FP技能士。主な業務として、①銀行が求める財務諸表、最適な資金繰り支援、②トラブルを防止する労務管理、経営労務監査支援など。
E-mail : t.takamatsu@advance-office.info

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