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相続対策としての生命保険活用法(1)           

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昨年1月から相続税の基礎控除額が「5,000万円+1,000万円×相続人数」から「3,000万円+600万円×相続人数」に切り下げられ、資産家ばかりでなく一般の人たちにも相続税が身近な問題となりました。相続が争族となった例は、遺産総額5,000万円以下が70%超というデータも見逃せません。そこで相続対策に有効な生命保険の活用法をお話ししましょう。

分けられない遺産はどうする?

昨年は年初に施行された税制改正で相続税が増税となり、相続税に関する話題が沸騰した年でした。基礎控除の改正(5,000万円→3,000万円)は実に21年ぶりで、日本が大きく変わろうとしていることを意味しているようです。

これまでは、相続税といえば、一部の資産家の問題として、「税金が掛からないから、相続対策は必要ない」とか、「うちはもめるほどの財産もないから対策は不要」と言っていた一般の人たちも、そういうわけにはいかなくなりました。

また、たとえ相続税が発生しなくても、遺産分割は相続税の有無にかかわらず、相続時には必ず行われなければなりません。家庭裁判所によれば、相続が争族になった遺産分割事件の実に70%超が遺産5,000万円以下で起きているという報告があります。5,000万円といえば、1昨年までは相続税がかからない遺産ですから、相続問題は決して税金の問題だけではないことが分かります。

その原因をみますと、日本の場合、遺産といえば現金ではなく、土地や自社株、自宅などが大半で、容易に分けることが困難であることが上げられます。また近年の社会的背景にもその原因を見過ごせません。非正規雇用が多くなり、収入が不安定で、若者が夢を持てないともいわれて久しくなりますが、こうした時代にあり、親の相続財産に少しでも期待するということが争いの一つの要因になっていることも上げられます。

「自社株対策」が最重要課題

さて、経営者にとって、事業承継は相続税の問題を切り離して考えることはできません。現在中小企業の社長さんの平均年齢は60歳に迫り、多くの経営者が世代交代期を迎えていると言われています。しかし、社長の保有資産の内訳は、資産の70%は事業用資産、自社株式、事業用不動産(個人名義の土地、その上に本社や工場が建っている等)なので、一般の富裕層とは異なります。従って承継させるべき人や承継の考え方も一般の資産家とは異なります。

経営者の相続・事業承継にとって、最重要課題は、「自社株対策」です。

本来なら、事業を成功させ、会社の規模も大きくなり、経営成績も順調に伸びている、経営者にとってこれほど嬉しいことはありません。しかし、このような会社の株式は、価格が高く、かつ換金性はありませんから、相続・事業承継から見たときには、皮肉にも、最もやっかいな資産、相続財産になります。タダで資産は移転できません。自社株の移転には、贈与税・相続税・譲渡税などがかかり、また株価算定のために税理士、コンサルタントに掛かる費用なども必要になります。

様々な資金が経営者には必要になってきますが、もう1つの問題は、相続人は会社の後継人だけではありません。自社株以外の相続人対策も併行して考えなければなりません。遺留分の問題もあります。

納税の財源は?

では、納税資金、遺産分割資金を何で準備するのが良いのでしょうか。納税は原則「現金」です。いくつかの財源候補はあると思いますが、重要ポイントは次の2点、

・相続開始に合わせて現金化できること

・時期や景気による価格変動がないこと

この2点を満たす財源はいくつかあると思いますが、その中でも特に活用しやすいのが生命保険があげられます。

次回は、その活用法を具体的に見て行きたいと思います。
ライター紹介

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K.Sソリューション 代表 底田 一枝

国学院大學短期大学国文科卒業。英国留学(アビーミショナリースクール)1年。マーケティングリサーチ会社勤務後、 某国内生命保険会社に勤務。2011年FP事務所「K.Sソリューション」設立。 川口法人会会員、サイタマ・レディース経営者クラブ会員、一般社団法人日本オオカミ協会会員。
E-mail : sktkazu_ba_1990@yahoo.co.jp

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